金沢の陶芸史を巡る旅

金沢は、古くから工芸が盛んな「文化の都」として知られています。「加賀百万石」の文化は、陶芸にも深く根付いており、今日まで多くの名品と技術が受け継がれてきました。

華やかな色彩の九谷焼の壺

九谷焼の鮮やかな色彩

加賀百万石が生んだ美意識:九谷焼

金沢の陶芸史を語る上で欠かせないのが「九谷焼」(Kutani-yaki)です。17世紀中頃、加賀藩の支藩である大聖寺藩領の九谷村で発見された陶石を使い、初めて焼かれたのが始まりとされます。その特徴は、赤、緑、黄、紫、紺青の「九谷五彩」と呼ばれる鮮やかな色彩と、絵画的で豪放な上絵付けにあります。初期の古九谷から、再興九谷、吉田屋窯、飯田屋窯など、時代と共に多様な様式が生まれ、それぞれが独自の魅力を放っています。

「器は料理の着物である」という北大路魯山人の言葉もあるように、九谷焼の器は料理を一層引き立て、食卓に彩りを添えます。